開発編 コラム

スマホアプリをストアに出すまで:お金・テスト・審査・日本だけのルール

  • 『アプリ開発者向けAIツール大全』Chapter 9(サーバー・ホスティング)より
  • 2026年11月5日版

Webアプリは、この章のサービスに置けば、その日のうちに公開できます。スマホアプリは違います。

App StoreとGoogle Playという「お店」に並べてもらうには、登録料を払い、テストをして、審査に通る必要があります。2026年11月5日時点の公式の情報で、その道のりを順番にまとめます。

① 登録料:Appleは毎年、Googleは1回だけ

iPhoneアプリを出すには、Apple Developer Program(Appleの開発者向けの会員制度)に入ります。料金は1年ごとに99ドルです。国によっては現地の通貨で払う形になるため、日本円でいくらになるかは、登録の画面で確かめてください。

Androidアプリは、Google Playの開発者アカウントを作ります。登録料は25ドルの1回払いです。登録のときには本人確認があり、身分証明書などを求められることがあります。

② Google Playの「12人・14日」テスト

2023年11月13日より後に個人で作ったアカウントには、大事な条件があります。一般公開を申し込む前に、クローズドテスト(招待した人だけに使ってもらう試験公開)をしなければなりません。

条件は、12人以上のテスターが、14日以上続けて参加していることです。2026年11月5日時点のGoogleの公式ヘルプにも、この条件がはっきり書かれています。

申し込んだ後のGoogleの確認は、ふつう7日以内に終わります(公式ヘルプより)。

家族や友人に早めに声をかけて、12人を集めておく。これが、Androidアプリを出す前の大事な準備です。

③ Appleの審査で止まりやすいところ

Appleの公式ページによると、審査は、出したアプリの50%以上が24時間以内、90%が48時間以内に終わるのがふつうです。

同じページには、よく落ちる理由が並んでいます。初心者が特に気をつけたいのは、次の4つです。

  • アプリが落ちる・不具合がある、仮の画像や文章が残っている
  • プライバシーポリシー(個人情報の扱いの説明)へのリンクが開かない、または中身が足りない
  • ログインが必要なのに、審査する人のための試しのアカウントを渡していない
  • アカウントを作れるアプリなのに、アプリの中でアカウントを消せない(ガイドライン5.1.1(v))

もう1つ、Appleの管理画面(App Store Connect)で「アプリがどんなデータを集めて、何に使うか」に答える必要があります。答えは、App Storeのアプリのページに載ります。さらに2026年11月16日からは、年齢区分(何歳以上向けのアプリかを示す表示)の質問に「ほかの人と現在地を共有する機能」「出会いや恋愛に関わる機能」があるかどうかの2項目が加わります(11月2日の発表)。アプリの更新を出すときなどに答える必要があり、すべてのアプリが2027年1月12日までに答えなければなりません。「出会いや恋愛に関わる機能」があるアプリは、年齢区分が18歳以上になります。

④ 2026年10月16日の審査ルールの改定

Appleは2026年10月16日に、審査のガイドラインを改定しました。新しく加わった2.5.19は、前からある決まりをはっきりさせたものです。

この2.5.19は、審査に出した版になかった機能を、審査に通った後で足すことを禁じています。そうしたアプリは、App Storeからの削除と、Apple Developer Programからの除名の対象になります。

a0.devやExpoには、ストアの審査を通さずに画面や文章を直せる仕組みがあります(Expoでは「EAS Update」)。Expoの公式ドキュメントも、ストアの決まりを守ること、アプリのふるまいを変える変更は審査を受けることを求めています。使うのは、誤字や見た目の調整、不具合の修正にとどめるのが安全です。

同じ改定の1.2では、AIで作られたものも含めて、同意のない性的な画像を、アプリの側で防ぎ、消すことが求められました。Chapter 6の画像生成APIを組み込むなら、気をつけてください。

⑤ 日本だけのルール「スマホ新法」

日本では2025年12月18日に、スマホソフトウェア競争促進法(「スマホ新法」とも呼ばれます)が全面施行されました(公正取引委員会の公式ページより)。Apple、iTunes株式会社、Googleの3社が、この法律の対象に指定されています。

Appleの日本向けの公式ページによると、iOS 26.2以降では、日本で次のことができます。

  • App Store以外の「別のアプリストア」でアプリを配る
  • アプリの中で、Apple以外の決済サービスで売る(Appleのアプリ内課金も同時に表示します)
  • アプリの外のWebページへ案内して売る(リンクアウト)

ただし、手数料がなくなるわけではありません。App Storeでのデジタル商品の手数料は標準21%で、アプリの中でApple以外の決済を使っても、この21%はかかります。Small Business Program(小さな事業者向けの制度)の参加者などは10%です。

Appleのアプリ内課金を使うと、さらに5%の決済手数料が加わります。リンクアウトでも、リンクを押してから7日以内の売上に15%(対象者は10%)がかかります。

Chapter 13のStripe(ストライプ)との関係も整理しておきます。アプリの中の機能や中身を売るときは、Appleのアプリ内課金か、上の日本向けの方法を使います。Stripeを組み込めば手数料がかからない、とはなりません。

一方、品物や、アプリの外で受けるサービスの代金は、アプリ内課金以外の方法(Stripeなど)で受け取る、というのがAppleの決まりです。

なお、ここまでの手数料はApple(iPhone)の話です。Google Playの日本での条件は、Googleの公式ページで確かめてください。

⑥ 道具に任せられるところ

ここまでの作業の多くは、道具が手伝ってくれます。

  • Rorkは、App StoreとGoogle Playへの公開の手続きを、Rorkの中から進められます(Chapter 3)
  • a0.devは、ビルド(アプリの完成品づくり)、署名(あなたが作ったという証明)、ストア申請を代わりに進めてくれます(Chapter 3)
  • この章のExpoの項で紹介したEAS BuildとEAS Submitは、iPhoneアプリの組み立てと署名、TestFlight(Appleの試験配布)とGoogle Playへの送信を手伝ってくれます。Google Playに初めて出すときは「内部テスト」の枠に入りますが、②の12人・14日の条件は、別の枠の「クローズドテスト」で満たす必要があります

ただし、どの道具を使っても、登録料、Google Playの12人テスト、審査の中身は、あなた自身が引き受ける部分です。出す前には、Chapter 15のコラム「公開前チェックリスト」も合わせて確かめてください。