開発編 コラム

ヒルトルのアプリ開発裏話:AIを「自分のアプリの中」に組み込むという発想

  • 『アプリ開発者向けAIツール大全』Chapter 5(AIモデルをまとめて使う)より
  • 2026年11月5日版

この章のツールは、正直に言えば少しとっつきにくいと思います。「モデルをまとめて使う窓口」と言われても、自分に関係あるのかピンと来ないかもしれません。

そこで、私が実際にやろうとしていることをお話しします。

私はいま、サイトやセールスファネルを作れるアプリを開発しています。そこでどうしても実現したかったのが、「お客様が、このアプリの中だけでAIを使える」という状態です。

今までなら、こうでした。お客様が自分でChatGPTを開いて文章を書き、画像を作り、それをコピーして私のアプリに貼り付ける。もちろんそれでも動きます。

でも、アプリの中にAIを組み込んでしまえば、お客様はChatGPTを開く必要すらありません。 そのままサイトが作れる、画像が作れる、文章が作れる。この差は、お客様にとって想像以上に大きな価値になります。

やり方も難しくありません。月額プランごとに「AIクレジット」を配る。上のプランほど使用できるクレジットが多い。そして足りなくなったら、お客様が課金して追加で買える——そういう仕組みを自分のアプリの中に組み込むのです。よくある仕組みですが、これができるだけで、あなたのアプリの単価は変わります。

ここで効いてくるのが、この章のツールです。

自分でサブスクを契約してAIを使うときは、定額の中で使い放題です。ところがAPIは従量課金。使った分だけお金が出ていきます。しかも払うのはあなたです。だから「1回の生成でいくらかかるのか」に、急に敏感になります。

そして、ここが面白いところなのですが、使うモデルを変えるだけで原価は十倍、百倍と変わります。

巻末の料金表を見ていただくと分かりますが、中国系の安価なモデルと最新の最上位モデルとでは、同じ100万文字を処理するのに何十倍もの差があります。私のアプリで「サイトを1本作る」という処理も、安いモデルなら数円から数十円。最上位モデルを使うと数百円かかることもあります。

自分ひとりで使うなら「いいモデルを使えばいい」で終わる話です。でもお客様に何千回も使ってもらうなら、この差はそのままあなたの利益になります。

私が選んだのはVercel AI Gatewayです。理由は単純で、私がVercelでアプリを公開しているからです。管理画面が1つにまとまりますし、何よりトークンへの上乗せ手数料がゼロ。モデルの提供元が公表している料金をそのまま払うだけです(クレジット購入時の決済手数料は別途かかります)。

もちろん、Vercelを使っていない方はOpenRouterで構いません。画像や動画を扱うならfal.aiも良い選択です。

大事なのは道具の名前ではなく、「AIを自分のアプリの中に持ち込む」という発想を持つことです。これからのアプリは、そこで差がつきます。