開発編 コラム
ヒルトルのアプリ開発裏話:私がSendGridを使い続けている理由と、SESに落ちた話
この章で私が実際に使っているのはSendGridです。少し意外に思われたかもしれません。無料プランも廃止されましたし、新規ならResendやSESが主流と書いたばかりですから。
理由をお話しします。
私は昔からClickFunnelsを使ってきました。今のClickFunnelsは単体でメールを送れますが、昔は自分でメール配信サービスを契約して連携させる必要があったのです。そこで選んだのがSendGridでした。以来ずっと使い続けて、変なことをしなければ普通に届く。実績があります。
もちろん、Amazon SESの安さは知っています。ですから私も申請しました。そして落ちました。
SESは最初、1日200通までしか送れず、しかも自分で登録した宛先にしか送れません。実質使えない状態です。これを解除する「本番アクセス申請」が必要なのですが、私はここで通らなかったのです。
どんなふうにメールアドレスを集めていて、どんな配信をしていて、迷惑メール報告がどれだけ少ないか。実績を並べて説明したつもりでしたが、それでもダメでした。
ただ、公平のために補足します。SESの審査は「誰も通らない」わけではありません。 AWSは24時間以内に一次回答すると案内していますし、日本でも申請から2日ほどで承認された報告があります。落ちるのは、たいてい説明が具体的でない場合です。
もしあなたが挑戦するなら、次のものを最初から用意してください。メールアドレスをどうやって集めたのか。実際に送るメールの現物。プライバシーポリシーと配信解除リンクのURL。今のリストの規模。迷惑メール報告が来たときの処理方法。 そして落ちたら、新しい問い合わせを立てるのではなく却下メールにそのまま返信するのが定石です。
さて、ここからが本題です。あなたがアプリを開発して、そのお客様にメールを送らせてあげたいとき、選択肢は2つあります。
1つ目は、あなたが契約して、お客様ごとにサブアカウントを作る方法です。
費用は全部あなたが払います。その代わりお客様からは毎月定額のアプリ利用料をいただく。お客様は何も契約せずにメールが送れるので、圧倒的に親切です。私はこちらでいこうと思っています。
ただし1つだけ、覚悟が必要です。お客様の誰か1人が乱暴な配信をすると、あなたのアカウント全体の評価が下がります。 送っていい内容のルールを決めておくことと、迷惑メール報告が増えた人を止められる仕組みは、最初から作っておいたほうがいいです。
2つ目は「Bring Your Own SMTP」、つまりお客様に自分で契約してもらう方法です。
お客様がSendGridなりSESなりMailgunなりを契約して、その鍵をあなたのアプリに登録する。費用はお客様持ちですし、評価も分かれるので安全です。ただし、お客様にとってのハードルは一気に上がります。 中級者・上級者向けと考えてください。
現実的な答えは「両方用意する」でしょう。初心者にはサブアカウント、分かる人には自分の鍵を持ち込む道を用意する。
どのサービスを選ぶかより、「誰が費用を払い、誰が信用を背負うのか」を先に決めること。 メール機能を付けるなら、そこが一番大事な設計です。